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文字通り 命がけの妊娠中絶

日本では近年、妊娠中絶をする女性の数が増加傾向にあるという。若い世代の自由な性行為の風潮、医療の発達、妊娠中絶への抵抗感の低下などなど、理由をあげればきりがないが、一昔前ならこれほどまでに妊娠中絶は行われなかった。胎児といえども人間は人間であり、そして命は命である。私はやむをえない中絶には賛成だが、安易に作ってしまった子供を安易に中絶するような人達が選ぶ中絶には断固反対である(逆に生んでしまう悲劇もあるだろうが)。性行為の乱れはこの平和な現代において仕方なのないことなのかもしれないが、命の大切さだけはいつまでも失われないようにしてほしいとおもう。

さて、日本でこれほどまで増加傾向にある妊娠中絶だが、アメリカ合衆国では少々問題が異なるようだ。まずはアメリカで起きた事件を2つほど。
・1993年 フロリダ州の中絶医が射殺される 
・1998年 アラバマ州で中絶クリニックが爆破される 2人が死傷

この他にも1993年から起きた6件の事件で1999年までに7人の中絶医、または関係者が殺されている。これはプロライフという中絶反対派の過激派グループによって行われた犯行であり、関与はしなかったが数十名のプロライフ活動家達も堂々とこの殺人事件にたいして賛成の意志を表したという。

このプロライフというグループ、強姦や近親相姦によって妊娠してしまった女性だけでなく、奇形児が生まれてくることが予想されていても中絶に反対する「中絶絶対反対派」のグループである。そのため、彼らにとってみれば、中絶を行う中絶医達は悪の殺人鬼なのである。こうした流れを受け、身の危険を感じる医師達が増えている。プロライフの活動が活発になった頃から中絶を行うことをやめる医院が急増し、今では全米の8割の郡では中絶を行う医院が一つもない、という現状になっている(1999年現在)。日本では考えられないことだが、この国の中では時に中絶を行うことも中絶の手術を施すことも命がけなのである。

逆にこのプロライフに反対するグループ、つまり中絶賛成派のプロチョイスというグループがある。女性の人権のため、幸せな家族計画のための中絶を完全に支援している。代表的なプロチョイス活動家にクリントン元大統領があげられるだろう。クリントンは連邦議会にて妊娠中絶の法案が可決されたのを拒否権を発動して数回否決しているほどである。議会レベルでは圧倒的にプロライフ支持者が多い反面、市民レベルでは圧倒的にプロチョイス支持者が多い。

結局、この妊娠中絶問題はアメリカ合衆国の根本にあるキリスト教の概念に基づいて反対されている感が強い。どんな中絶であろうと、どんなに望まれないで生まれてくる胎児であろうと殺人は殺人と見なす。意見的に納得の意見であり、賛成する人も多いだろうが、本人達(一部の過激派)が殺人をしてしまっていては本末転倒ではないだろうか?やはり議論というのはきちんとぶつけ合って答えを見いだして行かねばならないとおもう。遙か昔の1973年に合法化された中絶は未だにアメリカ合衆国にとって、頭を悩ませる問題として2001年現在でも活発に話し合いがもたれている。

こういったアメリカ合衆国の流れを知っているのか知っていないのか、アメリカに留学する日本人が簡単に中絶を希望する、といったような問題も近年クローズアップされてきている。日本とおなじような感覚で中絶を考えてしまってはこの国では文字通り命がけの中絶になってしまうだろう。

この中絶問題だけでなく21世紀では安楽死問題等、命を問題にする意見が多く交わされることだろう。命の大切さも大事だが、本人の意見も大事である。私がおもうにやはり中絶にしろ安楽死にしろ、本人が決められるのならそれが一番なのではないだろうか?望まれないで生まれてきてしまった子供の運命のほうが私は残酷なような気がする。

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