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アメリカ合衆国のセクシャルハラスメント

私がまだ日本にいたころ、アメリカ合衆国のセクシャルハラスメント対策を本気で考えていた。なぜなら私が聞いていたアメリカのセクハラ事情がこんな感じであったからである。、

「少しでも知らない女性に肩が触れれば訴えられることがある」
「小さい子供がいたからといってむやみにさわると両親に訴えられることがある」
「女性の容姿に関することを一言でも言ったら訴えられることがある」
「訴えられたら一生を棒に振るような巨額の金を請求される」
「触ってもないのに訴えられることがある」
「声をかけるだけでセクハラになることがある」

などなど(笑)。

今考えると本当にばかばかしいことを信じていたんだな、と思えるが、今、この雑記を読んでいる人の中で本気で信じている人もいるはずだ。私は少なからず、そう教わってきたし、文献でそう注意されてきた。しかし、事実は、というとそうでもなく、日本でよく噂されるアメリカ合衆国のセクハラ事情は、このようにかなり誇張されていることが多いのだ。少しで触れば何千万円と要求され、少しでもいびるものならすぐにセクハラの名の下に訴えられる。そういう誇張された事実を日本人が鵜呑みしたため一昔発売されたような「セクハラ対処法」のような本が飛ぶように売れ、子供達はふざけて「セクハラセクハラ」と言い合う。このように、日本ではアメリカはセクハラ先進国として扱われているのである。

しかし、以外とセクハラの歴史は浅い。初めてセクハラがアメリカ連邦裁判所にて認められたのは1986年。わずか15年前である。この時よりセクハラが「犯罪」として扱われるようになった。今まで男性にセクハラをされても泣き寝入りをするしかなった女性が、本格的には91年に行われたアニタ・ヒル(オクラホマ大学教授)の訴えを皮切りに全米で大きく論議されるようになった。結果的に、アニタは敗訴してしまったのだがこの裁判を通して全米に「セクハラ」という名前を知らしめたのである。この時の大統領、ブッシュは公民権法に署名し、セクハラの裁判のプロセスを作り、賠償金をつり上げたのである。

勘違いしてほしくないのが、セクハラはセクハラをした本人を訴えるだけではないのだ。記憶に新しいのが1995年に訴えられたウォルマート(日本のホームセンターのようなもの)。この時5000万ドル(約60億円)という賠償金支払い命令が下された。1996年にも日本の自動車企業、三菱自動車が同様に訴えられ企業のイメージを著しく下げた。こういった裁判があったおかげで、今では70パーセント以上の企業がセクハラ対策を実地し、セクハラ用の相談窓口等をつくり対応している。セクハラ保険なるものも存在し、企業は積極的に加入しているという。

2001年、今やセクハラは異性の間だけにおきるものではなくなった。一昔前、日本では「逆セクハラ」という言葉がはやり、女性による男性へのセクハラがクローズアップされたが、アメリカではその頃(1998年)、同性間でのセクハラがクローズアップされていたのである。軍隊でのセクハラも認められ初め、いろいろな論議を呼んでいる。

またこのようなことを書くと論議を呼びそうなのだが、私個人の意見ではこれほどまでにセクハラがクローズアップされている現代よりも過去のセクハラのほうがよほど激しかっただろうし、悪質なものであったとおもう。セクハラという概念がなく、女性はお茶くみ、そして体に触られても文句を言えない。時には自分のふがいなさがそういう事実を作り出してしまっていると思ってしまい誰にも相談できずにいた人だっていたはずである。某大阪府知事の件も、昔でなら「エロジジイ!」の一言で済んだのかもしれないが今の時代にはセクシャルハラスメントは歴とした犯罪である(昔は泣き寝入りするしかなかったのである)。セクハラがクローズアップされたきた現代において一見、セクハラの件数が年々あがってきていると思いがちだが、泣き寝入りをしてきた女性があくまで立ち上がったに過ぎないと思う。こうした企業ぐるみのセクハラ対策によってその数は年々下がっていると私は思う。10年後には女性にとってもっと快適な職場が出来上がることを祈っている。

確かにアメリカではちょっと触っただけで訴えたという実例も残っている。しかし、この雑記の冒頭に書いたようなアメリカ合衆国のセクハラ事情はここには存在せず、あきらかにセクハラと思えるような行為を働いたときのみ、訴えられるのである。ようするに健全に生活していればアメリカでだって平気、というわけだ。

日本で思っているようなアメリカのセクハラ事情は存在しないが、セクハラを取り締まる環境においてこの国はやはりセクハラ先進国なのである。

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